「ダイエットしたい」「脂肪を減らしたい」=「有酸素運動」というのが一般常識とまではいきませんが、多くの人に認知されてる定説になっています。
ただ、有酸素運動がどんなものなのかをハッキリ知ってる人は少ないです。
- 「ウォーキングとか軽いジョギングなど楽な運動」
- 「ぜぇぜぇ、ハァーハァーならない呼吸できる運動」
こんな認識じゃないですか?
実は「楽な」とか「呼吸ができる・できない」という線引きではないんです。
大事なのは心拍数と運動強度で有酸素運動か無酸素運動か線引きされていて、有酸素運動の中にも「脂肪が燃焼されやすい心拍数」というのがあるんです。
ここでは、どういう運動を有酸素運動というのかと脂肪燃焼しやすい心拍数について解説しています。
有酸素運動と無酸素運動
有酸素運動は、呼吸して体内に取り込んだ酸素を使って運動エネルギーを作る運動のことをいいます。
逆に無酸素運動は、運動エネルギーを作り出すために酸素を使わない運動のことをいいます。
「息を止めてる」とか「軽い運動」とかそういう話じゃないんです。
意外ですよね。
体を動かすのに必要な運動エネルギーはATP(アデノシン三リン酸)という聞き慣れない名前の物質で、このATPを作るのに必要なのが糖と脂肪です。
有酸素運動はATPを作るのに酸素+糖と脂肪の両方を使うんですが、無酸素運動は糖しか使わないです。
だから「無酸素運動で脂肪は減らない」「脂肪を燃焼させたいなら有酸素運動」と言われるんです。
運動強度の違い
「脂肪を燃焼させたいなら有酸素運動」という理屈が分かったところで、「どこまでが有酸素運動でどこからが無酸素運動なのか」という話です。
この線引きは運動強度が指標になっていて、運動強度を求めるのに必要なのが心拍数です。
運動をしていて「きつい」「楽」とか「息苦しい」という主観的な感想よりも、運動による心拍数の変化は生理的な反応なので、客観的に判断できる数値として重視されています。
人が発揮できる最大の心拍数(最大心拍数)は年齢を重ねるとともに低くなっていく傾向がありますが、同じ年齢の人であれば心拍数と運動の強度との関係はほぼ一定なので、運動の強度を計る目安として心拍数がよく用いられています。有酸素運動の強度なども心拍数で表されることが多くなっています。
出典:心拍数 | e-ヘルスネット 情報提供
具体的には最大心拍数の40%~80%が有酸素運動で、80%を超えると無酸素運動になります。
最大心拍数と言われてもよくわからないと思いますが、文字通りその人が限界MAXまでハードに運動した時の心拍数です。
厳密に測定するには機材が必要なので、年齢から計算した数値を使うのが一般的です。
最大心拍数
最大心拍数=220-年齢
脂肪燃焼しやすい目標心拍数
脂肪燃焼に有効な目標心拍数は最大心拍数の60~80%です。
80%を超えてしまうと無酸素運動ゾーンに入ってしまいますから、脂肪燃焼率が一気に下がってしまいます。40~60%までは脂肪も燃焼されますが、60%以上と比べて効率が悪いです。
だからこの目標心拍数をキープして有酸素運動を続けるのが、脂肪燃焼のためにベストというわけです。
具体的な目標心拍数の数値は、最大心拍数と安静時心拍数の数値を使ってカルボーネン法という計算式で計算します。
安静時心拍数
5分以上横になるか安静にして、上半身を起こす。手首の内側の血管に人差し指・中指・薬指をそろえて当てて、30秒間の脈拍の数を数えた数値を2倍する。
カルボーネン法で目標心拍数を計算する
0.6~0.8というのが運動強度で、最大心拍数のパーセンテージと同じ意味です。
最大心拍数の60%なら0.6を、80%なら0.8を掛けて計算してください。

(183-70)×0.6+70=137.8
(183-70)×0.8+70=160.4
私の場合、心拍数137.8~160.4が脂肪燃焼しやすい心拍数になります。
同じ要領で自分の脂肪燃焼しやすい心拍数を計算してください。
心拍計を使ったトレーニング
心拍数をキープするのは意外と難しいです。
ウォーキング・ジョギング・自転車などの有酸素運動を同じ速さでキープしているつもりでも、ほんの少しの勾配の違いで乱れるし、運動の序盤と終盤でも心拍数は違います。
体感的な辛さや呼吸のピッチは変わらなくても心拍数はかなり変化しています。
脂肪燃焼しやすい心拍数をキープするのは「心拍計がないと無理」だと私は思います。
私はMio FUSEという活動量計を心拍計として使っています。値段は12,000円くらいでした。

Mio FUSE
心拍計はブランド・性能によって価格はピンキリですが3千円台~2万円くらいで購入できます。
心拍計は以下の二つの機能があるものを選びましょう。
- 目標心拍数を登録できる
- 目標心拍数を外れたら知らせてくれる機能
実際の心拍数のグラフ
私が実際に心拍計で測定したデータを基にグラフを作ってみました。

心拍数を意識した場合
極端な例をピックアップしましたが、上が平坦なコースで心拍数を意識した場合、下はアップダウンが激しいコースで心拍数を意識してない場合です。
運動時間はどちらも45分くらいで距離は5~6キロです。

心拍数を意識してない場合
同じ時間でどちらが脂肪を減らせたかというと明らかですね、、、そう「上のグラフの時」です。
心拍数を意識してるかどうかとコースで実際の心拍数が全然違うことが分かってもらえたと思います。
【まとめ】脂肪燃焼したかったら心拍数を計って運動しよう!
上に挙げた2つのグラフの運動でどっちが辛かったかというと、下のグラフの時の方が圧倒的に辛かったです。

辛い方が「運動をやった感」はありますが、結果的には「楽な方が脂肪が燃焼しやすい」わけです。
運動の目的が脂肪燃焼なら「心拍数を計って運動しないともったいない」です。
カルボーネン法で自分の目標心拍数を計算して、脂肪燃焼しやすい運動強度で有酸素運動しましょう!
参考
脂肪燃焼しやすい心拍数の「最大心拍数の60~80%」という数値は以下の文献を参考にしています。
- 世界一やせる走り方 中野ジェームズ修一